「派遣で有給をとろうとしたら断られた」
「派遣先が有給をとれるような雰囲気じゃない…」
いろんな理由があると思いますが、派遣社員をやっていると有給を取りづらいと感じいている方は多いようです。
私も派遣で働いていましたが、有給を取りづらくて苦労したことがあります。周りが忙しそうにしているとなんとなく罪悪感を感じてしまうんですよね。
また、勇気を出して有給の申請を出してもやんわり断ってくる派遣先や派遣会社もありました。派遣先や派遣会社にとっては、有給を取られるとデメリットしか無いですからね。出来ればとってほしくないと言う気持ちもわかります。
ただ、これだけは覚えておいて下さい。
「有給は労働者に認められた権利で、拒否する権利はありません。」
「有給を拒否された場合は、労働基準監督署に相談すると解決します。」
これから詳細を書いていきますが、上記2点を覚えていれば大抵のトラブルは解決するはずです。
法律を知り、対処法を知れば有給はスムーズに取れるようになるでしょう。
しっかりとした知識を身に付けた上で、堂々と権利は主張し、マナーは守って無駄なトラブルは起こさずに仕事を行いましょう。
目次
あなただけじゃない!他の派遣社員も有給は取りづらかった
派遣先がピリピリした雰囲気の会社であったり、非常に忙しい会社であったりすると、有給は取りづらいですよね。
正社員の人がどんどん有給を取るような会社であればまだよいですが、周りが全く有給をとっていないとなると、自分だけ取るのは結構気が引けるものです。
そんな風に感じているのはあなただけではありません。
みんな遠慮している!有給の消化率は50%以下
日本人の国民性なのか、日本での有給の取得率は世界的に見ても低い傾向があります。
外国ではバカンスといって1ヶ月程度の連休をとることも珍しくありませんが、日本でそんなことしたら会社に戻れなくなるのではないでしょうか…。せいぜい正月休みの5連休~10連休が精一杯でしょう。
厚生労働省の調査によると日本全体の有給取得率は49.4%となっています。半分は残したまま使われずに消滅していきます。
また、同調査によると、66%の人が有給の取得にためらいを感じているそうです。7割近くの人は罪悪感というか、有給取りづらいな~と思いながら過ごしているんですね。
有給取得率
- 全体…49.4%
- 男性…46.8%
- 女性…55.4%
参照:厚生労働省「平成 29 年就労条件総合調査の概況」
遠慮することはない!有給は労働者の権利
とはいえ、有給は法律で認められている労働者の権利です。これを拒否するというのは会社が法律を破っていることになり違法行為です。
ですので、本当は遠慮せずに有給を取得しても良いのです。
派遣社員にもしっかり有給はある
派遣社員か正社員かに関わらず、ある程度の期間継続して勤務している人であれば有給休暇が認められます。条件は以下の2つを満たしていることです。
- 6ヶ月以上勤務していること
- 8割以上出勤していること
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の[有給休暇]を与えなければならない。
参照:労働基準法第39条
上記を満たしていればあなたには法律で認められた有給取得の権利があります。
有給取得は拒否できない!
有給休暇は労働者の権利であり、基本的に使用者はその申し出を断ることができません。労働者は好きな時に有給を取得する権利があります。
ただ使用者側にも時季変更権という権利があります。もし、その日休まれるとどうしても困るという事情がある場合に、有給を別の日にずらしてもらう権利です。
ただし、派遣社員の場合、使用者は派遣会社になるので、派遣先にとやかく言う権利はありません。有給を申請されたら派遣先には断る事も日付を交渉することも出来ないのです。
極端な話、派遣先に「その日は出勤してほしい」と言われても、止める権利はないので無視して有給を取得しても法律的には構わないのです。
有給取得の理由も言う必要はない
有給の理由はどうしていますか?
取得理由によっては断られてしまうのでは?と思ってしまいますが、どんなくだらない理由であっても断る権利が会社に発生するわけではありません。
というよりそもそも取得理由を説明する義務も法律上はありません。
ですので、よく会社にある勤務届の有給取得理由には何も書かなくても法律上は問題ないのです。
とは言え、会社としてのメンツもあるでしょうから、なにか書くのが社会人としてのマナーです。細かく書く必要はないので、「私用のため」と書いておくのが無難でしょう。
まだある!知って得する有給の豆知識
有給を取得する際は、派遣先と派遣元に連絡・申請をするのが正解
有給を取得する際は、派遣先の担当者に許可を取るのはもちろんですが、派遣元にも連絡をする必要があります。
私が在籍していた派遣元では、さらに営業担当の人にも連絡してほしいと言われていました。そうしないと営業が訪ねてきて、自分がいなかったら困るというのが理由でした。
つまり、有給を取る際に私がやらなければいけないことはこの様な感じです。
- 有給をとってよいか派遣先の上長に確認
- 有給を取ることを派遣元に電話連絡
- 派遣先で申請用紙を提出(派遣先用1枚,派遣元用1枚)
- 派遣元に申請用紙をFAX
- 派遣先のチームメンバーに有給予定日をメール連絡
普通の正社員と違って連絡先や申請先が多いのが少し手間ですが、ルールはルール。派遣先と派遣元両方に連絡する必要があることを覚えておきましょう。
有給休暇は何日間もらえる?
派遣社員は有給休暇を何日もらえるのでしょうか?それは1ヶ月の勤務日数によって変わります。
例えば週5日勤務の場合は、
- 半年で10日付与
- その1年後に11日付与
- さらに1年後に12日付与
となっています。最初の有給取得日から6年後には20日付与されることになります。詳しくは下記の表をご覧下さい。
参照:厚生労働省【リーフレットシリーズ労基法39条】
ただし、有給には2年という時効があるので注意が必要です。取得してから2年たったものは消滅してしまいます。
例えば、最初にもらった10日間を使わずにさらに継続すると、1年後には11日付与されるので21日になります。このまま使わずにもう1年いるとさらに12日付与されて33日になると思いきや、最初の1年目の10日は時効のため消え、22日間になってしまうのです。
どうせ消滅してしまうのであれば、計画的に使いたいものですね。
派遣先が変わった場合、有給は消える?
派遣社員として働いていると、3年間以上は同じ現場では働けないですし、そうでなくても契約延長せずに勤務先を変更することはよくあります。
そうした場合に有給は消えてしまうのかどうか心配になるところですが、基本的に消えないので安心してください。あくまでも私達は派遣元に雇われています。ですので、派遣先が変わっても、派遣元を変えない限り継続していきます。
ただし、派遣元の多くが「次の派遣先が決まるまでに1ヶ月以上空いてしまうと有給がなくなる」という規約を設けてる場合が多いので、できるだけ早く次の派遣先を見つけるようにしましょう。
また、当然ながら派遣元を変えてしまうと有給がなくなるので注意が必要です。
有給が取りづらい場合の対応方法
派遣会社の担当営業から伝えてもらう
有給が取りづらい方、もしくは取ろうとしたけど派遣先に断られた方は、派遣会社の営業さんを通して派遣先に伝えてもらいましょう。
基本的に、派遣先の会社にあなたの有給を断る権利はありません。ですがそこで法律の話を声高に言っても、喧嘩には勝つでしょうがトラブルのもとになる可能性が高いです。
トラブルになればその会社に居づらくなるかもしれません。であれば、交渉に長けた派遣の営業に動いてもらうのが確実ですし、あなたも嫌な思いをしなくて済みます。
大概の場合、派遣会社の営業が動けばスムーズに解決します。なぜなら契約を違反し法律を破っているのは派遣先だからです。大事にされたら困るのは派遣先の方なのです。
それでもまだ、有給を渋るような派遣先であれば、労働者の権利を認めない会社ということで、早めに見限り契約を打ち切るように営業に相談しましょう。
そんなことを言ってくるのはブラック企業ですので長居は厳禁です。
もし相手が契約違反だといってきたら、そっちが先に法律違反を犯したことを伝えれば相手も認めざるを得ないでしょう。
労働基準監督署に相談する
派遣会社が有給を渋るような場合もありえます。
弱小の派遣会社に多いのですが、派遣先に気に入ってもらいたいという気持ちが強く、派遣先に迷惑をかけないように
「なるべく有給はとるな!」
というスタンスをとっている派遣会社もいくつかあるんです。味方であるはずの派遣会社がこういう態度の場合は非常にストレスが溜まりますよね。
そんな場合は、「労働基準監督署に相談しますよ」と優しく伝えてみましょう。すぐに態度が変わるはずです。
労働基準監督署というのは、労働基準法を守っていない会社に対して指導・送検する権利をもっている組織です。
有給を拒否している派遣会社は労働基準法に違反しており、もしこれが労働基準監督署に持ち込まれれば、指導の電話が入ったり、悪質な場合は、許可を取り下げられ営業ができなくなってしまいます。
労働基準監督署とは?
労働基準法は労働者を保護するための法律です。
労働基準監督署は、会社がきちんと法律を遵守しているかどうかを調査する権限を持っていて、守られていなければ指導して、それでも改善されなかったり悪質だと判断すれば、送検してしまうこともできるわけです。
参照:労働基準監督署とは
世の中には労働基準法を破っている会社が山ほどあるので、この様な機関が監視してくれているのです。
実際には、労働基準監督署に行かなくても相手に「この人は法律を知っている人だ」と思わせることが出来れば、相手も下手な要求はしてこなくなります。
派遣は自分で自分を守らなければ、どんどん漬け込まれます。しっかりと知識を持っておいて損はないでしょう。
マナーを守って有給を取る
権利はしっかりと享受しますが、感謝の気持ちは忘れないようにしましょう。周りの社員も権利と分かっていても、休みたくても休めずストレスが溜まっている人もいます。
余計なトラブルを避けるためにも、今後も気持ちよく仕事をしていくためにも、しっかりとマナーを守って取得するようにしましょう。
「マナー1」なるべく早く予定を伝えておく
派遣先にも予定があるので、ある程度前から有給申請をしておくようにしましょう。理想は1ヶ月まえですが、難しい場合は少くなても1週間前には伝えるようにしましょう。
「マナー2」引き継ぎをしっかりとする
有給取得中に自分が担当していた仕事で問題になりそうなことは無いでしょうか?書類の場所は誰か別の人も把握しているでしょうか?
いない時に限って問題は起こるものです。そんな自体に備えて、仕事の状況や書類の場所などの引き継ぎをしっかりとしておくようにしましょう。
「マナー3」お礼まわり
有給取得後は一言でもいいのでお礼を伝えるようにしましょう。たった一言でも印象は違うものです。
余裕があれば軽いお土産もあると、かなり心象もよくそれがきっかけでコミュニケーションもとれるのでおすすめです。
派遣会社を変えましょう
トラブルが続くようであれば派遣会社を変えましょう。
小さい派遣会社だと、社員教育がしっかりしていなかったり、待遇が整っていなかったりで、担当につく営業によって当たり外れがかなりあります。
また、会社が小さいから発言力も弱く、派遣先企業の言いなりになってしまいがちな点もあります。トラブルを抱えている方の多くは小さくて無名な派遣会社に所属していることが原因です。
もしその様な状況に当てはまるのであれば、大手の派遣会社に転職することで解決する可能性はたかいです。
基本的にはリクルートスタッフィングが超大手なのでそこに登録しておけば問題ありません。ただ、登録者が多すぎるのかメールのレスポンスが遅いと感じることがありました。
ですので、私はテンプスタッフを使っていました。
念の為2つに登録して、早く決まったほうを継続していけばよいしょう。
まとめ
日本は有給は取得しづらい雰囲気がありますし、実際半分も有給を残しているというデータもあります。特に派遣社員となると、周りの正社員に気を使ってしまいさらに取りづらいものです。
ですが、有給は労働者に認められた権利であり、それを拒否することは派遣先や派遣会社にはできません。
法律によって守られているので、違反した場合は会社が罰せられます。しっかりと法律を知っておくことは理不尽な有給な拒否を防ぐ抑止力にもなるので覚えておきましょう。
ただ、小さい派遣会社は必死ですので、違法と知りながらあなたに過酷な労働を押し付けてくるかもしれません。
そんな場合は、労働基準監督署に持ち込むのも一つの手ですが、そんなところに関わるのは時間と体力がもったいないので、相手にせずに大手の派遣会社に転職するのがおすすめです。
腹はたつかもしれませんが、「相手と同じ土俵に立ったら負け」と思って大人の対応をしましょう。
より良い職場で働けることを祈っています。